西洋では紀元前7世紀頃、中国では紀元前3世紀頃、磁石の性質を持った天然の黒い鉄鉱石が発見されました。西洋では、ギリシアのマグネシア地方で原石が採取出来たため、「マグネスの石」と呼ばれ、これが『マグネット』の語源となったと言われています。中国では、鉄が磁石に吸い寄せられる姿が見方によると赤ちゃんが慈母のもとに慕い寄ってくる姿に似ている事から、「慈石」と書かれるようになりました。それでその「慈石」が取れる地方が「慈州」となったが、他にも「慈州」とう地域があったため、区別するために石偏をつけ「磁州」となり、それが「磁石」の語源となったと言われています。
紀元前7世紀頃 西欧で磁気を認めている/マグネシア地方(Fe3O4)
紀元前3世紀頃 中国で磁気を認めている/磁鉄鉱
紀元前250年頃 指南軍・慈石の記録がある
西暦713年 日本で近江国では慈石がでた記録あり
西暦1200年頃 ヨーロッパで磁気コンパスに使用
西暦1540年 ギルバード”De Magnete”磁気の図書の第1号
西暦1820年-1895年 電流と磁気の関係の法則が多く報告された
右ねじの法則/ファラデイの電磁誘導の法則
フレミングの法則/磁気記録構想/キュリーの法則
西暦1882年 珪素鋼板の発明
西暦1900年代 フェライト磁性体の発表(ビルバート)・自発磁化
強磁性体論(ワイス)
西暦1912年代 スピネルフェライトの結晶論発表(西川)
西暦1917年代 KS鋼磁石発明(本多)世界初の人口磁石製造
西暦1930年代 MK鋼磁石の発明(三島)/OP磁石・Cu-Znフェライト(加藤,武井)/センダスト(増本,山本)
西暦1940年代 フェリ磁性体(ネール)/Baフェライトの発表
西暦1950年代 フェライト磁石生産開始(フィリップス)/ソフトフェライトの生産
西暦1960年代 Srフェライトの開発/バブル磁区の発見(ボーベック)
西暦1970年代 SmCo系磁石の工業化/Fe-Cr-Co磁石
西暦1980年代 NdFeB磁石(佐川)/SmFeN(入山他)/HDDR
西暦1990年代 ナノコンポジット磁石
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1.電流の供給が無くても磁界を作れる
2.エネルギーを静磁界エネルギーで蓄えられる
3.外部エネルギーの供給なしで静磁界を作れる
4.自発磁化を持ち保磁力の大きなものをいう
5.高い飽和磁化と残留磁束密度を持つものをいう
6.硬質磁性材料ともいう
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強磁性体には大きく分けて二つのタイプがあります。
《永久磁石》
それ自身が磁石の性質を持ち、鉄などの磁性体を引きつける能力があります。
外部からのエネルギー供給がなくても磁石としての性質を維持します。
硬質磁性材料ともいいます。
磁石同士、電流同士、または磁石と電流の間に働く力が存在する空間を磁場(磁界)といいます。地球上には磁場があり、永久磁石や電流の流れる導線周辺にも存在します。磁場を図示する場合、N極からS極向きに磁力線の矢印を描きます。
異なる二つの磁極間を離すと磁力が働きます。この二つの磁極間にはみえない線があり、磁力はこの線に沿って働きます。この線のことを磁力線といい、磁場中に仮想的に引くものですが、以下のような性質があります。
①磁力線はN極から出てS極に入る連続的な線である
②磁力線は交わったり分岐したりしない
③磁力線が密集しているほど磁場が強くなる
ある場における磁界の強さと方向を、1[Wb]を1本とした磁力線を束で表したものを磁束といいます。
《電磁石》
それ自身は磁石でないが、コイルや他の永久磁石の助けを借りて磁石になります。
外部磁場を取り去ると磁力を失います。
軟質磁性材料ともいいます。
磁力を強くする場合、鉄心を入れたり、電流を大きくしたり、コイルの巻数を増やします。
電磁石的性質は下図のようになります。
導線に電流を流すと、電流の方向に向かって右回り(ねじをしめる方向)の磁力線を発生します。これを「右ねじの法則」といいます。ビオ・サバールの定理より、導線に流れる電流によって作られる磁場の大きさを求めることができます。
ソレノイドとは、円形導線をたくさん足し合わせた導線を密に長く巻いた円筒形のコイルのことです。「アンペールの右手の法則」はコイルに電流を流した時に、電流の向きコイルの巻き方から電磁石のN極・S極を見つけることができ、磁力線の極性を知るのに便利です。
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初め磁石材料は、幾つかの磁区(小さな磁石の塊)を作っています。各磁区の磁極方向は互いにあらゆる方向を向いています。そのため磁石材料全体としては磁力を打ち消しあっています。
この磁石材料を形成している強磁性体の原子磁石は、外部磁場を加えると磁界と同じ方向に磁極の向きを変え磁区がなくなり、磁石材料全体が磁石となります。
永久磁石は、外部磁場をかける作業(着磁)により磁区をなくしてしまったあとは、外部磁場を取り除いても元の磁区構造に戻らずに永久磁石になります。その後は、半永久的に磁場を発生する物体となり自ら磁力を発生し続けます。
1.磁石にはN極とS極があり、N極・S極の単独では存在しない
2.磁力の向きは磁力線で表し、N極から出てS極へ向かう
3.磁石の同極同士(N極とN極,S極とS極)は、反発力が働き押し合う
4.磁石の異極同士(N極とS極)は、吸引力が働き引きつけ合う
5.磁力線の本数が多いほど、磁力が強くなる
6.強磁性体以外は、磁石を吸着しない
7.磁石特性を知るには、磁気履歴曲線における第2象限(減磁曲線)をみる
8.パーミアンス係数Pcが大きいほど、磁石の動作点Pが大きくなる
9.残留磁束密度Br・保磁力HcJ・最大エネルギー積(BH)maxが大きいほど、良い磁石である
磁石にはN極とS極があります。磁石は目には見えない磁力が働き、磁石の異極間では吸引力が作用し互いに引きつけ合い、磁石の同極間では反発力が作用し互いに押し合います。その磁力の向きは磁力線で表しN極から出てS極に入ります。
残留磁束密度Brとは、着磁後に外部磁場Hを無くした際に残る磁束密度Bの大きさのことで、磁石などの磁性体の材料特性を示す値です。Brが高いほど磁力が高くなり、材質により変化します。
保磁力Hcとは、磁力を保ち続ける力のことをいいます。特にHcJが高いほど磁石としてより安定します。ここでいうHcJは固有保磁力ともいい、磁石本来が持つ保磁力のことです。また、他に外部磁場Hに対して対向することから抗磁力ということもあります。保磁力HcJが高いほど減磁作用を受けにくく、外部磁場に強く、温度変化に対して強くなります。
最大エネルギー積(BH)maxとは、BdとHdの積が最大になる値 をいいます。(BH)maxが大きいほど強力な磁石です。パーミアンス係数Pcは、磁石の形状から算出されます。減磁曲線とパーミアンス係数Pcの交点(動作点P)の座標をBdおよびHdとします。このBdとHdの積(減磁曲線上では長方形の面積)の最大値のことを最大エネルギー積(BH)maxといいます。
これらは磁石の重要なパラメータになり、残留磁束密度Br、保磁力HcJ、最大エネルギー積(BH)maxが大きい磁石が一般的に良い磁石とされます。
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1.電子の自転(電子スピン)による自発磁化をもち、ペアを組めない不対電子より磁気が発生する
2.強磁性体の性質をもち、磁場により大きく磁化される
3.キュリー温度Tcがあり、高温にて磁力が失われる
4.電磁石的性質がある
5.磁石特有の固有特性がある
電子は自転することで、「アンペール右ねじの法則」により、一方向に磁気モーメントが発生します。
しかし、同一軌道内では上方向の磁気モーメント(アップスピン)と下方向の磁気モーメント(ダウンスピン)により磁気モーメントを打ち消し合うため磁気が発生しません。 このペアの電子のことを対電子といいます。
ただし、ペアの組めない不対電子は電子自身の自転(スピン)により一方向に磁気を発生します。
永久磁石は高温になればなるほど徐々に磁力は低下して、やがて磁力を失います。
強磁性体から常磁性体に変わる温度、つまり永久磁石が磁力を消失する温度のことをキュリー温度(キュリー点)Tcといいます。
このキュリー温度は高温環境下で使用する際に重要な要素になります。
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永久磁石は一時的な一定の継続した磁界を発生していますが、磁石を応用する上で二次的機能はクーロン力、ファラデーの法則、フレミングの法則を利用し、多種多様で色々な工業製品に適用されています。
1.電磁エネルギー変換
・電気 ⇒ 動力《モータ、アクチュエータ》
・動力 ⇒ 電気《発電機》
2.吸着力・反発力《吸着治具、日用雑貨品》
3.信号素子・・・位置、速度、ON-OFF認識《センサー》
4.その他・・・電子、スピン、イオンへの作用《MRI、マグネトロン》
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