磁石使用上の注意事項/Caution

磁石をご使用に当たっては下記の注意事項を十分に留意され安全にお使いください。ご使用方法を間違えると機能を損ない、事故を招く恐れがあります。

 ! 警 告/Warning

  • ペースメーカーなど電子医療機器を装着した人、およびその他の電子医療機器へ磁石を近づけることは大変危険です。医療機器の正常な作動を損ない、人命にかかわる恐れがあります。
  • 磁石を飲み込まないように注意してください。万一飲み込んだ場合は直ちに医師にご相談ください。お子さまの手の届くところには磁石を置かないでください。  

 ! 注 意/Caution

  • けがや機能不良を起こさないために、以下の注意事項をお守りください。  

【1】各材質の磁石に共通の注意事項

《a》ユーザー各位に対する注意事項

【設 計】

  1. 異方性磁石では磁化方向により磁気特性は大きく異なります。設計に当たっては異方性の方向にご注意ください。
  2. カタログの磁気特性値はご使用時の保証値ではありません。磁石はご使用になる寸法・形状などにより、カタログ通りの磁気特性値が得られない場合があります。事前にサンプルなどでご確認ください。
  3. 磁石は一般的に加熱することにより磁化の大きさが低下します。低下の場合は使用される動作点によっても大きく変わります。温度特性を参照して組立時または使用時に温度が上がりすぎぬよう、また、できるだけ減磁が少なくるような磁気回路設計を行ってください。
  4. お客様で磁石の磁化(着磁)をされる場合、材質および保磁力に応じた十分な磁界を与えてください。磁界の強さが不十分な場合、設計通りの磁気特性が得られないことがあります。磁化に必要な磁界の大きさについては弊社にご相談ください。
  5. 磁石の種類(材質)、磁気回路によっては組込(組立)後着磁の困難なものがあります。一般的には保磁力の大きいものほど組込着磁は困難となります。  
  6. 次のような環境での使用、保管は避けてください。磁石の腐食や特性および強度劣化を引き起こします。耐候性については各磁石の材質によって異なりますので、予め防錆などにつきご相談ください。①腐食性ガス雰囲気(Cl、NH3、SOX、NOXなど) ②導電性の高い環境(電解質を含む水中など) ③水素雰囲気中 ④酸性、アルカリ性、有機溶剤など ⑤水中、油中
  7. お客様で切断または分割などの加工をされる場合、磁石特性の劣化、着磁不良などが生じることがあります。加工条件については弊社にご相談ください。なお、お客様で加工される場合、加工中や使用中の欠けや割れ発生に対する保証はいたしかねます。
  8. 磁石の材質の多くは硬く、脆い性質を持っています。自動車など振動が加わるような用途に使用される場合はヨークに接着するなど強度を維持するとともに、万一割れても脱落することのないように設計に留意ください。
  9. 磁石と磁石、ヨーク、ポールピースなどとの接合に接着剤を使用する際には、接着剤の種類、量、条件、強度などを十分検討し、信頼性をご確認ください。
  10. モーターなど高速回転体で磁石が破壊される場合があります。設計に当たっては、万一破壊しても破片が飛散しないような措置を講じてください。
  11. 圧入、焼きばめなどの加工をするときは、磁石の特性が劣化したり、磁石や相手材が割れるなどの恐れがあります。必ず事前にサンプルで確認してください。
  12. 漏洩磁束は他の機器に影響を及ぼす場合がありますので、できるだけ漏洩の少なくなるような磁気回路を設計してください。


【組立・取扱い】

  1. 磁化された大型磁石は磁石同士または鉄片など磁性体との間に非常に強い吸引力(または磁石間の反発力)が生じます。運搬や組立の際に手などを挟まれたり、吸引力や反発力で身体のバランスを崩し、思わぬ怪我をすることがありますので適切な治具を使用するなど磁石の取扱いには十分注意してください。  
  2. 磁石のシャープエッジで手指などの怪我をすることがあります。取扱いに十分注意してください。  
  3. 空芯コイルを用いて着磁をする場合は、磁石がコイルから急激に飛び出すことがあり危険です。安全のため、磁石はコイルの中心部に置き、固定してください。  
  4. 磁化された磁石を重ねる場合は、磁石が離れにくくなったり、欠けたりすることがあります。その場合には、間にボール紙などをスペーサーとして挟み込んでください。  
  5. 切り出し用磁石を加工する時、切り粉が自然発火する恐れがあります。切り粉について下記事項に留意してください。①火気および可燃物は絶対に近づけないでください。②電気掃除機は使用しないでください。③発火した場合に備え、粉末消火器、砂などを用意してください。 
  6. 磁石によっては、防錆の目的で表面処理(メッキや塗装)が施されているものがあります。吸着などの外部衝撃でメッキや塗装が剥がれると磁石に錆が発生します。磁石をぶつけたり落としたりしたときはメッキや塗装が剥がれていないことを確認してからご使用ください。またメッキや塗装が剥がれたものは使用しないでください。
  7. 着磁された磁石を鉄板に吸引させたり、また磁石同士を吸引させたり、反発させたりしないでください。減磁することがあります。
  8. 着磁された磁石を交流・直流磁界に近づけると減磁することがあります。
  9. 着磁された磁石は鉄粉などのゴミを吸着しますので、梱包ケースから取り出すときはホコリのない環境で行ってください。  
  10. 磁石は、着磁されていない磁石でも微小な磁性体が付着する場合がありますので取扱いに注意してください。また、精密モーターに使用する場合は組み付け後洗浄してから使用してください。
  11. 磁石はそれぞれの材質に特有のキューリー温度があります。キューリー温度近くに加熱すると磁化を失います。組立などで加熱せざるを得ない場合は弊社にご相談ください。
  12. ヨークなどに接着する場合は、接着後に機械的な歪が残らぬような接着剤および接着方法を選んでください。残留応力がかかったまま使用されますと、わずかの衝撃で磁石が割れることがあります。
  13. 磁石は衝撃に弱く、割れや欠けが発生しやすいので取扱いに注意してください。取扱い中に割れや欠けが発生した場合、特性劣化や強度劣化の恐れがあります。


【保 管】  

  1. 磁石は一般にかけやすい材質が多く、取扱いに注意が必要です。衝撃が加わることのないような場所に保管してください。  
  2. 錆の発生を防ぐため雨水などかからぬようご注意ください。  
  3. 着磁されている磁石には、着磁されていることを明示のうえ、木箱など非磁性材料でカバーをしてください。  


【その他】  

  1. 磁石を近づけると磁気記録媒体の記録が破壊することがあります。フロッピーディスク、磁気カード、磁気テープ、プリペイドカード、切符、ブラウン管などに磁石を近づけないようにしてください。
  2. 磁石を電子機器に近づけると計器盤、制御盤に影響し、故障や事故につながることがあります。近づけないでください。  


《b》一般消費者に対する注意事項

  1. 磁石を磁気テープ、フロッピーディスク、プリペイドカード、切符または電子時計に近づけると、磁気記録が破壊されたり、磁化されて使用できなくなることがあります。また、電子キーでカードや切符が使用できなくなることがありますので、電子キーとカードや切符を一緒にポケットに入れたりしないでください。  
  2. 磁石を飲み込まないように注意してください。万一飲み込んだ場合には直ちに医師にご相談ください。お子さまの手の届くところに磁石を置かないでください。  
  3. 金属に敏感に反応するアレルギー体質の方は、磁石に触れると皮膚が荒れたり、赤くなったりする場合があります。このような症状があらわれた場合には磁石に触れないでください。  
  4. 一般の磁石では、磁石の成分が水に溶け出す場合がありますので、磁石に触れた水は絶対に飲まないでください。  
  5. ペースメーカーなど電子医療機器を装着した人へ磁石を近づけることは大変危険です。医療機器の正常な作動を損なう恐れがあります。ご注意ください。  
  6. 磁石は一般に割れやすいものです。その破片が目に入ったり、破片で怪我をする場合がありますので、ご注意ください。  
  7. 磁石は吸着力が強いので、手を挟まれないようにご注意ください。  


【2】各種磁石に固有の注意事項

《a》希土類磁石

  1. 使用環境により磁石の表面が酸化することがあり、酸化防止のためにメッキなどの表面処理が必要になります。特にネオジウム系では多くの場合表面処理が必要です。使用条件に合わせた表面処理を施した磁石をご使用ください。  
  2. 希土類磁石の合金粉末は消防法で第二類(可燃性固体)第一種の危険物に指定されています。磁石の使用中の摩擦によって生じる微粉末は発火および着火の危険性がありますので、磁石粉末が発生する恐れのある使用は行わないでください。  
  3. 希土類磁石の微粉は自然発火の危険性がありますので、お客様で加工される場合は、切り粉や研削粉は空気中に放置せず、必ず水を張った入れ物に保管してください。また、万一の発火に備え砂を用意しておいてください。発火したならば直ちに砂をかぶせて可燃物を遠ざけてください。
  4. 希土類磁石の中でもネオジウム系は、温度上昇に対する磁気特性の低下率が大きいものがありますので、設計に当たって十分ご注意ください。
  5. ネオジウム系磁石は、液体窒素温度付近以下では磁気特性が低下しますので、設計に当たって十分ご注意ください。
  6. 高温多湿の場所での保管は避けてください。  


《b》フェライト磁石

  1. 異方性フェライト磁石など、材質によっては低温で減磁するものがありますので注意が必要です。ご使用になる温度で必ずご確認ください。
  2. フェライト磁石は電装用などに多用されていますが、特に割れやすい材質であるため、十分な衝撃に耐えるような対策を行ってください。  


《c》ボンド磁石

  1. ボンド磁石をある温度以上に加熱すると、減磁、特性劣化、軟化、変形するものがありますので注意が必要です。使用可能温度については、弊社にご相談ください。
  2. ボンド磁石は、高温だけでなく温度を下げた場合でも脆化減少によって機械的強度が低下することがあります。使用温度を参照して設計を行ってください。
  3. ボンド磁石は、一般の磁石に比べて強度が弱く、ご使用に当たっては取扱いにご注意ください。
  4. 使用バインダー、塗装などに使用する有機物により腐食性ガスが発生する場合があります。事前に弊社にご相談のうえ、適切な材料を選択してください。
  5. 希土類系ボンド磁石は錆びやすい金属粉末を使用していますので、適切な表面処理(メッキや塗装など)が必要な場合があります。ご使用に当たっては予め弊社にご相談ください。
  6. ボンド磁石は、使用しているバインダーの種類によっては、吸湿や有機溶剤による膨潤現象によって寸法変化や機械的強度の低下を起すことがあります。予め弊社にご相談ください。
  7. ボンド磁石を空芯コイルを用いて着磁または脱磁をする場合は、着磁条件によっては磁石が加熱されることがあり、不用意に触ると火傷する恐れがあります。磁石の取扱いにご注意ください。
  8. ボンド磁石は、製造条件などによっては磁性粉末が脱落する恐れがあり、HDDなどで使用においては深刻な損害を与える危険性があります。防錆上は必要なくても表面処理が施されたものをご使用ください。
  9. ボンド磁石をヨークなどに接着加工する場合は、樹脂の種類や接着面の状況によって目的の接着強度が得られないことがあります。ご使用になる接着剤で必ずご確認ください。

お問い合わせ先/Contact Us

磁石や製品に関するご相談・ご質問・御見積依頼などお気軽にお問い合わせください。
TEL 03-3603-8501
※営業時間9:00~18:00(土日祝日を除く) 
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