永久磁石は、最初から磁気を帯びているわけではありません。着磁装置により磁石素材に強力な磁界を加え、磁化(着磁)されてはじめて磁石となります。
一般的には、大容量コンデンサーに充電した電荷を瞬間的に放電して強い磁界を発生するコンデンサー式着磁電源装置(パルス式電源)を用いることが多いです。
また、直流電源と電磁石を組み合わせた静磁場や強力磁石で構成された磁気回路磁界中で磁化(着磁)させる方式もあります。
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磁化(着磁)とは、磁化を持たない磁性体に外部磁場を加え、磁気的に分極させて磁石にすることです。
強磁性体がどのようにして磁石になるのかを磁化過程といい、図のような初磁化曲線を用いた磁化過程のイメージとなります。
消磁状態(外部磁場H=0)のとき、強磁性体は多磁区構造を持ち、各磁区の磁気モーメント(自発磁化)がお互いに打ち消しあっているため、磁石表面に磁化が現れません。この丸(○)全体が磁区を表しており、磁区の境界を磁壁といいます。
まず、徐々に外部磁場Hを加えると、H1部のように磁壁が移動し始めます。
さらに外部磁場Hを加えていくと、H2部のように磁壁が消失し、単磁区構造になります。
そして、さらに外部磁場を加えていくと、H3部のように磁気モーメントが外部磁場方向に回転し、やがて飽和状態の飽和磁気分極となり磁化(着磁)が完結します。
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磁石の用途・材質・形状により、いろいろな着磁方法があります。
単純なN⇔Sの一方向(厚み方向や径方向)着磁の場合、空芯コイルや電磁石の磁界を利用し着磁することが出来ますが、多極着磁や組立品の着磁などは磁石仕様に合わせた専用の着磁ヨーク(冶具)を製作する必要があります。
着磁種類の代表的な例を以下に示します。ただし、メーカーにより着磁の呼び方が違う場合がありますので注意する必要があります。
着磁の極数は磁石の形状により任意に選択することが可能です。ただし、多極着磁の場合は、着磁電流とコイル線径のバランスがあるため多極着磁のピッチに限界があります。また、磁場配向により成形された異方性磁石を着磁する際には、磁場方向に注意して着磁する必要があります。
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脱磁(消磁)とは、永久磁石となったものから逆に磁力を取り除くことをいいます。一般的な脱磁方法は以下の3つのが挙げられます。
《共振減衰脱磁》
着磁装置同様にコンデンサーに充電した電荷をコイル流すことで共振磁場を発生させ、徐々に減衰しながら磁場を反転させ続けることで磁力を取り除きます。希土類系磁石は高保磁力のため完全に脱磁することが困難で注意が必要です。
《熱脱磁》
強磁性体は、キュリー温度以上に熱すると常磁性体となって磁化を失うため、キュリー温度以上に磁石を過熱することで磁力を取り除く方法です。ただし、キュリー温度以上の加熱により磁気特性や表面処理に影響を及ぼすことから、実際には消磁が困難な場合が多いです。
《交流脱磁》
交流電流を利用することで磁力を取り除く方法です。テープレコーダーやVTR等で応用されています。磁気テープの記録信号を磁気ヘッドから発生する交流磁界により、テープ上の磁性粉の磁極の向きを反転を繰り返しながら減衰させます。
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